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換価分割、相続財産の譲渡
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換価分割、相続財産の譲渡


母が今年の3月に死亡しました。母の相続人は、わたしと兄と妹の3人です。母の遺産は生前に居住していた建物とその敷地だけで、私たち兄弟全員に自分の持ち家がありますので、遺産の土地・建物は売却して売買代金を等分に分けることを考え、実家に一番近い場所に住んでいる私が、売却の手配や段取りをすることとなりました。そこで、この土地・建物の名義を私単独に登記し、私個人口座に入金された売買代金から譲渡費用を差し引いた残額を分けるつもりですが、注意すべきことはありますか
 
まず、あなた名義の土地・建物の譲渡という形をすることは、譲渡所得はすべてあなたのものとなりますので、譲渡所得に係る所得税もすべてあなたが負担することになります。
この事態を避けるためには、換価分割(=遺産を直接分割の対象としないで、未分割の状態で換価処分した上、その代金を共同相続人が分割する方法)の合意に基づき行わることを遺産分割協議書等において明示する必要があります。
今回のケースのように、売買手続を簡素化するために、共同相続人の1人を代表者として相続登記を行ってから売却しても、相続人全員が合意した割合(今回は3等分)に従って代金を取得することになります。換価時に具体的な合意ができていなくても換価分割であることには変わりませんが、売却についての合意ができた段階で換価分割である旨を明確にしていないと、換価分割なのか代償分割(=相続人の1人が遺産の全部または一部を現物で取得して、他の相続人に対し代償金を支払う方法)かの区別不能だと、課税関係に大きく影響します。
 
つまり、換価分割の場合ですと、各相続人の相続税の課税価格は、換価分割の対象となった財産の価額に、換価代金の配分割合を乗じて計算した価額により計算することになります。
また、代償分割の場合ですと、代償財産を交付した相続人については、相続により取得した財産の価額から他の相続人に対して交付した代償財産の価額を控除した価額を基に相続税の課税価格を計算します。この場合、代償財産の対象となった不動産等の通常の取引価額と相続税評価額との間に差額があるときは、その調整計算をすることになります。
従って、譲渡された相続財産が、換価分割の合意に基づき譲渡されてものなのか、相続人の1人がその財産を単独相続し、代償金支払いのために売却したものなのかによって、相続税の課税価格の計算方法が異なります。
 
次に相続財産の譲渡したことによる課税関係ですが、換価分割の合意に基づき譲渡されたものであるならば、その売却収入は合意された配分割合の応じて、各相続人に帰属することにより各相続人が所得税を負担します。代償分割による場合であるならば、その相続財産を取得した相続人がその相続財産を譲渡したことになるので、その売却収入はその相続人1人に帰属するとともに所得税を負担します。なお、この場合、代償金の交付を受ける他の相続人所得税の負担はありません
 
換価分割なのかどうかの判断が難しく、分割協議の経緯、当事者の認識、支払った金額の決定要素、相続財産を単独登記した理由、売買の手配や段取りの当事者選定の経緯などから総合的に判断されるところです。
 

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