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同居親族が被相続人と共に有料老人ホームに入居した場合
甲(平成29年相続開始)の唯一の相続人である妹乙は、平成25年まで甲及び妹乙が居住の用に供していた家屋及びその敷地(本件土地)を甲の相続により取得しました。
甲及び妹乙は、平成25年中に、老人福祉法に規定する有料老人ホーム(施設)にそれぞれ入居していたため、甲の相続開始日において、家屋は利用されていませんでした。
妹乙は、本件土地について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例における特定居住用宅地等に該当するとして、同特例の適用を受けることができるでしょうか。
なお、甲及び妹乙は介護保険法に規定する要介護認定を受けており、甲と妹乙の生計は別であり、妹乙は甲の相続開始前3年以内に妹乙又は妹乙の配偶者が所有する家屋には居住しておりません。
甲は、相続開始日において、要介護認定を受けており、かつ、施設に入居しており、「居住の用に供することができない事由」が認められますから、甲が施設に入居する直前において居住の用に供していた本件土地は「被相続人(甲)の居住の用に供されていた宅地等」に該当します。
そして、本件土地が「特定居住用宅地等」に該当するためには、被相続人の親族が、所定の要件のいずれかに該当する必要があるところ、要件の一つ(非同居親族要件)を満たすためには、その親族が、相続開始前3年以内に相続税法の施行地内にあるその者又はその者の配偶者の所有する家屋に居住したことがない者であって、かつ、相続開始時から申告期限まで引き続き小規模宅地等の特例を受けようとする土地を有していなければなりません。
今回のケースにおいて、妹乙は、相続開始前3年以内に妹乙及び妹乙の配偶者の所有する家屋に居住したことがないこと、申告期限まで引き続き本件土地を保有(継続保有)することにより、非同居親族要件を満たすこととなり、妹乙は、甲と同様、要介護認定を受けており、その家屋から施設に入居しているものの、被相続人の親族が小規模宅地等の特例の適用における特例対象親族に該当するか否かの判断は、「居住の用に供することができない事由」のような規定は設けられていませんので、妹乙は同居親族(被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住している親族)には該当しませんから、家なき子として小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。
(追記)
なお、平成30年税制改正で家なき子の要件が改正され、相続開始3年以内の非居住要件の所有者に親族の三親等内の親族又はその親族と特別の関係のある法人を、被相続人の相続開始時にその親族が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有したことがないことが追加されたことにより、甲と妹乙は三親等内の親族に該当しますが、非居住要件の相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋は除かれますので、特例の適用を受けることは可能かと思われます。
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